トップジャーナルへの投稿はもちろん,最近は国内学会誌の英文化や海外学会との学会誌相互乗り入れなども盛んになりつつあり,論文を英語で執筆する,あるいはそうした論文に触れる機会は増加する一方です。論文を検証するに当たり,研究者が立てた仮説や検証方法が正しく表現されているのかはもちろんですが,科学英語や論法の誤用により発表内容がきちんと伝わっていないとしたら…? 研究者自身にとってはもちろん,その成果を享受しうる社会にとっても損失は小さくありません。ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェローの今村文昭氏は,自身の論文査読の経験や疫学研究を進めるなかで「医学論文のなかで集められたデータがたとえ強力でも,論文作成の過程でその価値が損なわれているものが多い」ことに驚いたといいます。そこで,論文の内容に重要な影響力を持つ統計学者のほか,学術界のトップ,哲学者の科学英語に対する多角的な知見を同氏が紹介します(全3回)。[前編][中編]
科学に欠かせない「重役」,統計学者のアドバイス
統計学は科学のどの領域においても,欠かすことのできない重役のような存在です1)。実際に,有力な医学雑誌には,必ず1人の統計学者が編集委員となっています。そうした学術雑誌に投稿した論文が,統計学的に十分でなくては編集委員にネガティブな印象を与えることでしょう。
今回は,多くの研究に欠かせない統計学から,論文の執筆に関連する事柄を2点紹介します。1つは,統計学用語の誤用について,もう1つは統計手法を書く 際の考え方についてです。
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