[2010年9月2日(VOL.43 NO.35) p.46]

地中海料理風の食事で心機能が向上

〔米テキサス州ダラス〕インディアナ大学ブルーミントン校(インディアナ州ブルーミントン)栄養免疫学のJun Dai助教授らは,双生児を対象とした研究を行い,「心疾患リスクを高める高い遺伝子変異を有していても,地中海料理風の食事によって心機能が向上する」とCirculation: Cardiovascular Quality and Outcomes(2010; 3: 366-373)に発表した。

心拍変動が大きくなる

 地中海料理の特徴は,飽和脂肪が少なく,魚,果実,野菜,豆類,堅果類,オリーブ油,穀類などに富み,適度な飲酒も含まれる。心疾患リスクの低減効果が知られているが,その機序はまだ解明されていない。

 筆頭研究者のDai助教授らは今回,エモリー大学(ジョージア州アトランタ)による双生児心臓調査のデータを分析した。対象は一卵性と二卵性の双生児として生まれた中年男性276人で,同助教授らは被験者の食物頻度質問票から得られた食事データと心疾患データを分析。栄養摂取の内容を地中海料理との類似性でスコア化した。また,心拍変動(HRV)測定は携帯式のホルター心電計によって継続的に記録した。

 同助教授らは「今回の研究では,双生児を対象とすることで,遺伝的要因やその他の家族性の影響を調整しつつ,HRVにおける食事の影響を評価することが可能となった」と述べている。

 研究により得られたおもな知見は以下の通り。

 (1)地中海料理との類似性スコアが高いほど,HRVが大きいことが示された。具体的には,類似性スコアの上位四分位は,下位四分位よりも10%から58%大きかった。このことは,心臓関連死が9~14%低減されることを意味している

 (2)遺伝によるHRVへの影響は,測定されたHRVにもよるが,20~95%の範囲であった

 同助教授らは結果について,「地中海料理風の食事を取る男性では,西洋料理を取る男性よりも,HRVが大きくなることを確認した。HRVは日常生活における心拍の変動状態を指し,HRVが小さいことは,冠動脈疾患や突然死の危険因子とされている」と説明。さらに「このことは,地中海料理に近い食事を取る人のほうが,心拍を制御する自律神経系がよく機能することを意味している」と結論している。

 ただし,今回は被験者の94%が非ヒスパニック系の白人男性だったことから,この結果を女性や他の民族集団に当てはめることはできない。


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