[2010年9月2日(VOL.43 NO.35) p.46]
英都市の歓楽街で深酒が定着
飲酒量減らす対策を
〔英リバプール〕リバプール・ジョン・ムアーズ大学公衆衛生学センターのMark A. Bellis教授らは,英国北西部で行った研究の結果,「血中アルコール濃度の測定および酩酊の自己評価および客観的評価から,英国の夜の歓楽街では極度の飲酒が驚くほど蔓延していることが明らかになった」とSubstance Abuse Treatment, Prevention, and Policy(2010; 5: 5)に発表した。
呼気検知器で飲酒が促進
Bellis教授らはチェスター,リバプール,マンチェスターの都心部の214人を対象に調査を行った。同教授は「英国では,夜の歓楽街での深酒が文化として定着している。それにもかかわらず,これまで酩酊に関するデータは比較的少なく,酩酊者へのアルコール販売を規制する法律はほとんど無視されている。今回インタビューを行い,その時点での酩酊具合と,帰宅までにどのくらい酒を飲むつもりか調査した。これと血中アルコール濃度の測定とを組み合わせることで,飲酒量を記憶していないほどの極度の酩酊状態にある者からも情報を得ることができた」と述べている。
インタビュー時に酩酊感を報告した人の半数(51%)が,その後さらにアルコールを飲む予定だと報告した。
また,10人に1人が帰宅時間までに40ユニット超を飲酒する予定で,酒類販売承認時間の長い店を利用している飲酒者が最も飲酒を切望する傾向にあった。ここで1ユニットとはアルコール10mLに相当し,ウイスキー(シングル)1杯,ビール(半パイント,284mL)が1ユニットの目安とされている。
さらに,被験者は血中アルコール濃度について知らされても当夜の飲酒量を減らす(25人中1人未満)どころか,さらに増やす(4人中約1人)傾向にあることもわかった。同教授は「飲酒を促進するための呼気検知器の商業的利用は,英国の一部のバーで既に試みられている。そのような機器が安易に利用できるようになったため,飲酒量がさらに増える危険性がある」と懸念を示している。
また同教授は,これらの結果について「英国の都市は,暴力などの反社会的行為を取り締まり,アルコールに直接関連する危害から人々を守るため,歓楽街においてコストのかかる治安維持戦略を採用している。確かに,夜の歓楽街における安全対策は,公衆衛生の保護に不可欠ではあるが,夜遊び中の飲酒量を減らすための相応の努力もせずに,そのような対策を実行することは,飲酒者が安全に酒を飲める環境をただ提供しているにすぎない」と付け加えている。
