[2010年9月2日(VOL.43 NO.35) p.01]
新規糖尿病患者で高い肝疾患リスク
〔カナダ・オタワ〕トロント大学(トロント)臨床評価科学研究所のJoel G. Ray博士らは,新たに糖尿病と診断された成人患者では,肝硬変や肝不全などの重篤な肝疾患リスクが高いとの研究結果をCanadian Medical Association Journal(CMAJ,2010; オンライン版)に発表した。
肥満や高血圧併発で最高リスク
糖尿病の負の影響については,眼,腎臓,血管に対するものが知られているが,肝臓への影響についてはほとんど知られていない。
Ray博士らは今回の研究で,13年にわたって成人の新規糖尿病患者43万8,069例(30~75歳)を糖尿病のない対照群205万9,709例と比較した。
その結果,重篤な肝疾患の発生率は対照群の1万患者年当たり4例に対し,新規糖尿病患者群では同8例と高かった。また,糖尿病と同時に肥満や高血圧を有していた患者で肝疾患リスクが最も高かった。
同博士らは「われわれは,糖尿病の存在が,より深刻なインスリン抵抗性,肝臓に対するより大きな脂肪の負荷と炎症や損傷の潜在的な悪化を反映するものと考えている。糖尿病患者は高血糖だけでなく,長期的なインスリン抵抗性の増加と肝臓への脂肪負荷により,肝細胞に影響が生じている可能性がある」と指摘している。
米国退役軍人局による以前の研究では,糖尿病患者において重篤な肝疾患の発生率は2倍であったが,研究対象が入院中の高齢男性に偏っていた。
同博士らは,肝疾患の年1回のスクリーニングを推奨する前に,減量と血糖・脂質管理の効果についての理解をより深めるべきであると提案している。
