[2010年8月26日(VOL.43 NO.34) p.05]

胃バイパス術で糖尿病改善

食事療法より優れる

〔米カリフォルニア州サンディエゴ〕コロンビア大学(ニューヨーク)内科のJudith Korner助教授は,成人の2型糖尿病患者を対象にRoux-en-Y胃バイパス術と低カロリー食の有効性を比較した結果,体重減少は両群で同等であったが,糖尿病(インスリン感受性)の改善は胃バイパス術で優れており,同手術による糖尿病改善効果には体重減少以外の機序も働いていることが示唆されたと内分泌学会(ENDO)第92回年次集会で報告した。

ホルモンの変化が関与か

 今回の研究では,Roux-en-Y胃バイパス術施行群でインスリン感受性の改善幅が大きいことが確認された。Korner助教授は「今回の研究は短期間での比較だが,食事療法のみによる体重減少では胃バイパス術と同等の糖尿病改善効果は得られないことを示している」と述べた。

 Roux-en-Y胃バイパス術は最も普及している胃バイパス術で,胃の容積を外科的に縮小し,胃のほとんどと小腸の一部を迂回するように消化管の経路を変更する。同術後,多くの糖尿病患者が正常血糖値の回復か血糖管理の著明な改善を達成しており,なかには糖尿病治療薬を全く必要としなくなった患者もいる。

 今回の研究では肥満で成人の2型糖尿病患者(14例)を,(1)手術は行わず800kcal/日のカロリー制限流動食療法施行(食事療法)群(2)胃バイパス術施行(手術)群―に7例ずつ割り付け,両群ともに試験前の平均体重から8%減少した時点で試験終了とした。その結果,体重減少は手術群で早く,約3.5週間であったのに対し,食事療法群では8週間かかった。

 手術群では試験終了時までに全例が糖尿病治療薬を中止できたのに対し,食事療法群では55%の投与減少にとどまった。さらに,手術群ではインスリン感受性の指標と膵のインスリン産生細胞であるβ細胞の機能が有意に改善したが,食事療法群のインスリン感受性改善は統計学的に有意ではなく,β細胞機能の改善度も手術群と比べ小さかった。

 同助教授は,2型糖尿病患者に対するRoux-en-Y術後のこうした改善には,ホルモンの変化が関与しているのではないかと推察している。


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