[2010年7月29日(VOL.43 NO.30) p.21]

中年の内臓脂肪が脳容積の低下と関連

〔ボストン〕ボストン大学(BUSM)神経学科のSudha Seshadri准教授らは,腹部の脂肪と脳の総容積低下との間に有意な関連性があることを見出した。今回の研究により,肥満と認知症の関連の根底にある機序の理解が進み,新たな予防法につながるかもしれない。詳細はAnnals of Neurology(2010; オンライン)に発表された。

内臓脂肪と脳容積の関連が最も強い

 特に中年では,BMI高値と肥満は認知症とアルツハイマー病のリスク上昇と関連している。脂肪分布によって代謝系リスクは異なり,皮下脂肪と内臓脂肪のほうが体重よりも血管リスクを反映するとのエビデンスが増えつつある。しかし認識力や認知症との関連を示すデータは限られている。

 研究責任者でフラミンガム心臓研究の研究者でもあるSeshadri准教授らは今回,フラミンガム子孫研究コホートに参加した700例超を対象に脳MRIと,皮下脂肪および内臓脂肪を定量化するための腹部CT検査を行った。

 同准教授は「BMI,腹囲,皮下脂肪組織,内臓脂肪組織は脳の総容積と逆相関していた。さらに今回のデータでは,内臓脂肪が脳の総容積と最も強く関連しており,驚くべきことに,この関連はBMIやインスリン抵抗性とは独立していた」と述べている。

 同准教授らによると,肥満,特に内臓脂肪と脳の総容積との逆相関の根底にある機序については推論の域を出ていない。糖尿病やインスリン抵抗性と同様,炎症が重要なメディエータかもしれず,アディポネクチン,レプチン,レジスチン,グレリンなどの脂肪組織由来ホルモンもかかわると考えられている。

 同准教授は「これらの知見は予備的なものであるが,肥満と認知症の関係の根底にある機序への理解を深めることができた。今後,予防法の開発に役立つかもしれない」と期待を寄せている。

 今回の研究は,フラミンガム心臓研究を行った米国立心肺血液研究所(NHLBI),米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)および米国立加齢研究所(NIA)の助成を受けた。


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