[2010年7月29日(VOL.43 NO.30) p.21]

肥満蔓延の低年齢化が平均寿命に影響

〔米ミシガン州アナーバー〕ミシガン大学CSモット小児病院小児内分泌学と同大学保健システム(UMHS,ともにアナーバー)小児科・感染性疾患科のJoyce M. Lee助教授らは,米国人の若年層と中高年層は,親世代と祖父母世代に比べ肥満になる年齢が低く,そのため平均寿命が短く健康状態が不良であるとInternational Journal of Obesity(2010; 34: 614-623)に発表した。今回の研究によると,米国人は若年期に体重が増加し,生涯にわたって過剰な体重を抱えることになるため,慢性疾患と余命への影響は過去の考察よりも大きくなる可能性があるという。

1966~85年生まれでは20~29歳の20%が肥満

 Lee助教授らは1926~2005年生まれの小児と成人に関する幅広い全米データをもとに,若年世代が親や祖父母の世代よりも早期に肥満になることを明らかにした。

 分析によると,1966~85年生まれでは20~29歳の20%が肥満になっていたのに対し,その親世代(46~55年生まれ)では30~39歳,36~45年生まれでは40~49歳で同レベルに達していた。また26~35年生まれではさらに遅く,50歳代で同レベルに達した。

 同助教授は「米国人の体重は増加傾向にあると指摘する声は多い。しかし,どの世代に肥満が蔓延しているかを理解することが非常に重要である。今回の研究は,若年期と中高年期に肥満になる米国人が増加し,さらに低年齢化していることを示唆している。また肥満の蔓延傾向は平均寿命に影響を及ぼすとされるが,この傾向が将来の糖尿病発症率や死亡率に与える影響について理解するには,さらなる研究が必要である」と述べている。

女性とアフリカ系米国人で肥満が増加傾向に

 脂肪と体重の指標であるBMIは年齢とともに上昇し,肥満の小児は成人肥満となる傾向を示すエビデンスが存在する。また肥満は,2型糖尿病,心血管疾患,身体障害,若年死の一因であることも広く知られている。

 今回の研究では,肥満が女性とアフリカ系米国人に多い傾向も見られた。Lee助教授らは「これは健康に対する人種格差を是正するうえで,障壁となるかもしれない」と述べている。

 実際,1976~85年生まれの20~29歳を見ると,肥満の有病率は,白人で20%,アフリカ系米国人では35%であった。

 同助教授は「白人よりもアフリカ系米国人で肥満が増えていることは特に懸念すべきである。アフリカ系米国人は本来,肥満関連の疾患に罹患しやすく,そのため肥満傾向は健康に関する人種格差を拡大しかねない」としている。


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