[2010年7月29日(VOL.43 NO.30) p.20]
ふすまの摂取で女性2型糖尿病患者の死亡リスク低下
〔米テキサス州ダラス〕ハーバード大学内科学とハーバード大学公衆衛生学部(ともにボストン)栄養学のLu Qi助教授らは,2型糖尿病の女性のうち,ふすまの摂取量が最も多かった群では,摂取量が最も少なかった群と比べて,心血管疾患(CVD)による死亡リスクが35%低く,全死亡率も28%低かったとする研究結果をCirculation(2010; 121: 2162-2168)に発表した。ふすまは全粒穀物の構成成分で,ビタミン,ミネラル,食物繊維を豊富に含む。
NHS登録女性のデータを検討
研究責任者のQi助教授は「今回の研究は,私の知る限り,糖尿病患者の死亡リスクを全粒穀物およびその構成成分摂取別に検討した初めてのものだ。糖尿病患者のCVD発症リスクおよび早死リスクは,一般人口の2~3倍である」と述べている。
同助教授らは今回,女性看護師保健研究(Nurses's Health Study;NHS)に登録され,30歳以降に2型糖尿病と診断された女性7,822例のデータを用いた。NHSは1976年に開始され,米国の女性看護師12万1,700人が参加している。参加者は,2年ごとに病歴,ライフスタイル,疾患の診断についての質問票に,また4年ごとに食物摂取頻度質問票に回答した。
最長26年にわたる経過観察中,852例が死亡し,うち295例がCVDによるものであった。食物摂取頻度質問票のデータを用いて,全粒穀物の摂取量(g/日)と構成成分であるふすま,胚芽,穀物繊維の摂取量(g/日)を算出。その後,参加者を各摂取量別に5群に分けた。ふすまの摂取量(中央値)は,最高五分位群で9.73g/日,最低五分位群で0.8g/日未満であった。
ふすま摂取量が有意に相関
年齢調整後,全粒穀物,ふすま,胚芽,穀物繊維の摂取量が最高五分位の群では,最低五分位の群と比べ,全死亡およびCVDによる死亡リスクが低かった。しかし,ライフスタイル,喫煙,身体活動などの因子を調整すると,ふすまの摂取量のみが,死亡リスクと統計学的に有意に相関していた。
Qi助教授は「糖尿病患者の死亡および心血管リスクの減少には,全粒穀物,そのなかでも特にふすまが寄与していることが示唆された」と結論している。
また,この関連を説明するにはいくつかの機序が考えられるという。同助教授らは以前の研究で,全粒穀物とその成分を多量に摂取することにより,全身性炎症と血管内皮機能障害に対する保護作用が働くことを見出している。
糖尿病は,炎症と血管内皮機能障害の化学マーカー値が中等度に上昇した慢性炎症状態と考えられている。これらマーカーは,糖尿病の有無にかかわらず,CVDリスクの上昇と関連する。同助教授らは「われわれは以前の研究で,全粒穀物や穀物由来の食物繊維などを摂取することにより,糖尿病患者でこれらマーカー値が低下することを報告している」と述べている。
同助教授らは今後の研究で,2型糖尿病患者に対し多種のふすまを検討し,得られる効果を比較すべきとしている。
米国心臓協会(AHA)は,全粒穀物が豊富で食物繊維に富む食生活を送り,摂取する穀物の半量を全粒穀物とするよう推奨している。
